愛犬が何かを吐くのでさえ動揺するものですが、血が混ざっていたら尚更です。もちろん、いつもと違う様子があればすぐに動物病院に相談すべきですが、その際に必要なのは正確な状況の把握。犬が血を吐いたときに考えられる原因や、診察前に確認しておきたいポイントを知っておくことで、落ち着いて対処できます。
犬が血を吐いた場合にまずチェックしたいのは、吐いた血の色や量です。
真っ赤な色の血液を吐いた場合は、口の中や消化管内(多くは食道や胃)で出血が起こったばかりの可能性があります。
吐いた血の色がピンク色の場合、喀血の可能性があります。喀血とは、呼吸器からの出血を吐くことを指します。
吐いた血の色が黒く、凝固している場合やコーヒーのかすのように見える場合は、出血してから時間が経過していて、血液が一部消化された状態か、少し前に出血したことを意味します。
嘔吐物の中に点々と血が混ざっているのか、それとも、もっと多くの量の血が混ざっているのかにも注意します。
おもちゃの破片や殺鼠剤、殺虫剤など、嘔吐物の中に何か変なものが入っていないかも確認しましょう。何か見つけたら、それも持参するか写真を撮って獣医師に確認してもらいましょう。
子犬は生後1年間、ワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成犬は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢犬や特別なケアが必要な犬は、より頻繁な検診が必要になる場合があります。
犬が血を吐いてしまったら、まずは落ち着いて愛犬の様子を観察します。嘔吐が続いている、大量の血を吐いている、呼吸が荒い等の場合には至急動物病院を受診しましょう。犬が血を吐く場合の多くは、口の中からの出血、あるいは食道や胃などの上部消化管の刺激や損傷が関係していますが、中には鼻血が喉の奥に流れ込んだことで吐いてしまったり、肺などの呼吸器からの出血を吐き出す、いわゆる喀血であることもあります。
口の中からの出血の場合、おもちゃや骨を夢中になって咬んだことで歯茎が切れ、出血することもありますし、歯周病の進行例では少しの刺激でも出血してしまうことがあります。確認できそうであれば、唇を裏返したり口を開けたりして、可能な範囲で確認してみます。痛みがある場合には唸ったり咬もうとしたりなど嫌がる仕草を見せる可能性もあります。そのような場合は、無理せず、獣医師の診察の際に、どのようにしたら嫌がったのか、どのあたりが痛いのかもしれないなどの説明ができるようにしておくとよいでしょう。
上述した内容を確認したのち、かかりつけの動物病院を受診します。2の項目で少し説明しましたが、肺や気管から血液が混ざった痰を吐き出すいわゆる"喀血"の場合でも、飼い主さんは血が混じった嘔吐をした、と獣医師に申し出ることがあります。咳をしたときにピンク色、赤色、コーヒーかす状のものが出てきた、という場合には喀血の可能性があり、その原因には、呼吸器疾患以外にもうっ血性心不全やフィラリア症などが考えられます。獣医師が喀血なのか、そうではないのか判断するのにも、吐き出したときの様子の説明は役立つでしょう。
動物病院では、個別の犬の状況に合わせて獣医師が処置や必要な検査を行います。一般的には血液検査やレントゲンの検査が行われますが、細かい内容は原因によって異なります。治療についても、消化管の炎症や胃潰瘍の場合は適切な医薬品の処方とともに、消化管が回復するまで消化しやすい療法食が推奨されることもあります。検査を早めに行うことで、より早く原因に対して対処できることが多いことを覚えておきましょう。
サラ・ウーテン博士は、2002年にカリフォルニア大学デービス校獣医学部を卒業しました。アメリカ獣医ジャーナリスト協会の会員であるウーテン博士は、コロラド州グリーリーでの小動物診療、関連分野、リーダーシップ、クライアントとのコミュニケーションに関する講演、執筆活動に携わっています。家族とのキャンプ、スキー、スキューバダイビング、トライアスロンへの参加を楽しんでいます。
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