愛犬の動きが鈍く見えたり、疲れているように感じたり、以前は好きだった遊びをしなくなったなど、元気がないと感じることがあるかもしれません。こうした元気がない様子や、運動を嫌がる仕草が見られる場合は、何らかの病気が原因の可能性があります。心臓病のような深刻な疾患も考えられるため、元気がない、活動量が減ったと感じたときは、そのサインに注意を払うことが大切です。以下を読み、なぜ運動量が減ったのか、その原因と対処法を理解しましょう。

激しい運動の後には、健康な犬でも一時的に元気がないように見えることがあります。たとえば、ドッグランで一日中走り回った後や、慣れないハイキングの翌日などは、普段よりも多く眠り、動きも鈍くなります。しかし、こうした疲れが数日以上続くようであれば注意が必要です。元気がない状態が長引く場合、単なる疲労ではなく、心臓病などの重大な疾患の兆候である可能性もあります。筋肉痛のような軽い不調から、うっ血性心不全といった深刻な病気まで、さまざまな原因が考えられます。Vets Now*¹ では、犬が活発に動かなくなる、つまり元気をなくす原因についていくつかのケースが挙げられています。
犬の散歩サービスとアドバイスのサイトのWag!*² には、運動不耐性が、食欲不振、咳、失神などの別の症状と同時にみられるときは肺高血圧症やその他の循環器疾患の可能性がある、と付け加えています。
一般的に、犬が元気がないかどうかは比較的簡単に分かります。Vetinfo*³ によると、過剰に眠る、テンションが低い、興奮しない、反応が遅いといった様子は、どれも明らかに不活発で元気がない兆候です。
ただし、運動不耐性は、日常的に散歩や遊びを通じて犬の様子を観察している飼い主でないと、気づきにくいことがあります。Wag!*⁴ によれば、軽度のケースでは「いつもほど遠くまで歩きたがらない」といった行動が見られます。また、遊びたがらない、というだけのこともあります。運動後に咳をする、激しいパンティング、苦しそうな呼吸なども、運動不耐性のサインかもしれません。さらに重い場合には、パニック状態、方向感覚の喪失、トイレの失敗、体温の上昇、ふらつき、心身の虚脱といった明らかに元気がない状態が見られることもあります。
子犬は生後1年間、ワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成犬は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢犬や特別なケアが必要な犬は、より頻繁な検診が必要になる場合があります。
元気がない、いつもと同じ運動なのに動きが鈍い、などと感じたなら、それ以上無理に運動をさせたりしてはいけません。愛犬が発するサインに従って、遊ぶのを中止します。いつもの散歩でも、必要に応じて散歩を中断する判断が必要です。ほかに深刻な症状がないか、よく観察します。何か心配な行動に気付いたときは、獣医師に連絡をしましょう。すぐに回復したり、ほかに問題となる症状がないときは、1~2日様子をみます。失神や心身虚脱などの極端な症状がみられたときは、直ちに救急病院を受診しなければなりません。

犬に元気がない様子が見られる場合、動物病院では詳しい検査が実施されます。獣医師は、跛行、けが、痛み、場合によっては腫瘍の徴候がないかも調べてくれるでしょう。また、元気がない原因として他の健康問題が隠れていないかを調べるために、血液検査や尿検査も行われます。さらに、心臓の電気的活動を調べる心電図検査や、心臓と肺の状態を確認するための胸部X線検査が実施されることもあります。場合によっては、診断を助けるための超音波検査、CTスキャン、MRIが勧められることもあるでしょう。飼い主は、愛犬が服用している薬、食事やライフスタイルの詳細、気付いた症状や行動の変化などを獣医師に伝えることで、正しい診断を受けるための重要な手助けとなります。
元気がない状態や運動不耐性は何らかの問題の症状かもしれませんが、病気というわけではありません。したがって、必要なケアの種類は身体の状況によって異なります。回復すれば元どおりの活動レベルに戻れるかもしれません。その一方で、心臓病やその他の進行性の病気と診断されれば、生涯にわたって運動を制限しなければならないかもしれませんし、活動の変更を余儀なくされるかもしれません。獣医師に愛犬の状態をよく聞いて、安全に行える身体活動の程度を知っておきましょう。
激しい活動や運動を制限された場合、当然ながら体重管理が難しくなることがあります。過剰な体重は病気を悪化させることもあるため、これは対処しなければならない課題です。診断された内容と治療計画によっては、その病態に適した特別療法食のプランを獣医師から提示されるかもしれません。逆に、特別な運動をしなくてでも体重管理ができる体重管理用ドッグフードについて尋ねてみるのもいいでしょう。きちんと年齢に合ったドッグフードを与えることも体重管理には役立ちます。正しい栄養はとても大切です。必要な栄養素を正しく与えられていない犬は、エネルギーを維持することができないため、それが元気がなくなる原因になることもあります。たとえ特別な療法食が必要ではなくても、フードに関する全般的な推奨事項を必ず獣医師から聞いておくようにしてください。
一般的に、加齢に伴って犬の動きは鈍くなっていきます。高齢になるほど、関節の問題、体重増加、年齢による単なる疲れやすさなどが原因で、不活発になることがあります。また、高齢になると、不活発や運動不耐性を引き起こす高齢犬特有の病気にもかかりやすくなります。ただいつもより明らかに疲れているように見えるときは、たとえ高齢でも、単なる老化のせいと決めつけてはいけません。それは絶対に無視してはならない警告かもしれないからです。
犬の活動レベルは健康状態の指標になります。愛犬がいつもと違う行動をとったときに気付けるように、飼い主として普段の様子を注意深く観察しておくことが重要です。普段から、愛犬と遊んだり散歩したりして、愛犬の正常な活動レベルをよく知っておきましょう。いつもと違う様子にいち早く気付いていてすぐに対処することで、深刻な病気も早期に発見できますし、愛犬が健康で幸せな生活を長く続けられることに大いに役立ちます。
参照先:
*1 https://www.vets-now.com/pet-care-advice/dog-is-lethargic/
*2 https://wagwalking.com/care/conditions
*3 https://www.vetinfo.com/dog-lethargy-symptoms.html
*4 https://wagwalking.com/condition/exercise-intolerance
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