ハイキングや水のレジャーなど、犬と楽しめるアクティビティはいろいろありますが、一緒に走ることは一番手軽に犬と楽しめるアクティビティです。お互いにとって、カロリーを消費し、ストレスも発散できて、心身ともによい影響を与えてくれる素晴らしい方法になります。
犬の運動不足は、肥満や過体重といった身体的な健康トラブルだけではなく、問題行動につながる要因としても多くあげられるもののひとつです。有り余ったエネルギーを発散させるはけ口がなければ、子犬でも成犬でも破壊的な行動に出ることがあります。家具やクッションなどをイタズラされることは、飼い主にとって悲劇的なことですが、それ以上にペットにとって危険なことでもあります。
犬とのランニングを安全に楽しむために、知っておきたいポイントやチェック事項、持ち物やグッズなどをご紹介します。準備をしっかりして始めてみましょう!
一般的に犬は人間よりも走ることに関する体力は上回っているといえますが、中には通常の散歩以上の運動を必要としない、あるいは激しい運動に向いていない犬種もいます。とくにパグやブルドッグのような短頭種の犬たちにとって、過度な運動は呼吸困難を引き起こす可能性があり危険です。また小型犬でも激しい運動に向いていないケースもあります。一方で、ボーダー・コリーやシベリアンハスキーといった活発な牧畜犬や使役犬は、計り知れないほどの体力をもっていますから、いくらでも付き合ってくれるでしょう。愛犬の犬種や普段の散歩の様子から判断するようにしましょう。
年齢的な体力や健康状態、前述の犬種とも一部重複しますが身体的特徴による身体的能力についても考慮する必要があります。
多少違和感があっても、犬はそれを隠そうとすることがあるため、ランニングを始める前には必ず獣医師による健康診断を受けましょう。また、ランニング中に遅れがちになったり、脚の様子を気にする場合には、一度立ち止まって休ませてから、歩いて帰るようにします。決してランニングを強制しないようしましょう。
子犬は生後1年間、ワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成犬は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢犬や特別なケアが必要な犬は、より頻繁な検診が必要になる場合があります。
ランニングに出かける前には、お互いの安全と快適に楽しむために必要な物がすべて揃っていることを確認してください。愛犬とランニングに出かけるときは毎回、以下の持ち物リストをチェックするとよいでしょう。

気温は犬とのランニングではもっとも気をつけたいことのひとつです。犬は発汗による温度調節がほとんどできないので、人間がそれほど暑さを感じなくても、犬が熱中症になってしまうこともあります。さらに夏場は、気をつけないとアスファルトが熱せられていて足を火傷してしまう危険もあります。一方、気温が低すぎて、凍傷になってしまうこともあります。夏は日中を避けた朝や夕方など、冬は日中など、気候に合わせて対応しましょう。
ランニングに特別必要なトレーニングはありませんが、横について歩く、強く引っ張らないなどの外を歩くときの基本的なマナーは、飼い主と犬の両方の安全を守るために必要です。ランニング中に犬が主導権をとって走り出してしまった場合、飼い主がけがをする可能性があります。また、信号待ちや混雑した道を渡るときなどのために、「止まれ」、「お座り」、「待て」などの指示はマスターしておきましょう。このような基本的なしつけトレーニングは日々積み重ねておきたいものです。そして、なによりも最初はゆっくり走ることから初めて、徐々に距離を延ばしていくことが大切です。Runner's World*には獣医師が作ったプログラムが掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。
慣れてくると、体力とともに筋力もついて、少しずつ長く、より早く走れるようになるでしょう。ついつい楽しくなってくると夢中になってしまいますが、常に愛犬の様子に配慮することを忘れないようにします。とくに肉球は定期的にチェックしましょう。いつもなら何かあれば犬自身が気にして舐めるかもしれませんが、ランニングが楽しすぎて擦り剝けていても犬も気がつかないこともあるからです。
ランニングが習慣になってきたら、栄養についても獣医師に相談してみましょう。アスリートと同様に、日々活発な運動をしている犬には、そうでない犬と比べると多くのエネルギーと様々な栄養素が必要です。適切な栄養と運動は人間にとっても犬にとっても健康維持のためにもっとも重要です。健康寿命を伸ばしていつまでも一緒に暮らせるように頑張りましょう!
*参照先:https://www.preventivevet.com/pets/heatstroke-in-dogs-and-cats
サラ・ウーテン博士は、2002年にカリフォルニア大学デービス校獣医学部を卒業しました。アメリカ獣医ジャーナリスト協会の会員であるウーテン博士は、コロラド州グリーリーでの小動物診療、関連分野、リーダーシップ、クライアントとのコミュニケーションに関する講演、執筆活動に携わっています。家族とのキャンプ、スキー、スキューバダイビング、トライアスロンへの参加を楽しんでいます。
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