人間と同様、犬も歳をとって目が今までよりも見えづらくなることがあります。高齢で目が不自由な方々には周囲の配慮やサポートが必要なのと同じように、視力を失いつつある(またはすっかり失ってしまった)犬のお世話には、今までもよりも注意深く、より細かい配慮が必要になります。今までのアクティブなペットライフに感謝しながら、次は愛犬により快適に過ごしてもらうことを目標に、目が不自由になった犬たちのために必要なことは何かを学んでいきましょう。適切な配慮がなされれば、決して視力を失うことが生活の質の低下を意味するわけではないことは確かです。
犬の視覚に障害を起こす原因には、一般的に知られている加齢による白内障や緑内障のほか、進行性網膜萎縮症や SARDS とも呼ばれる突発性後天性網膜変性症候群といった病気など、さまざまなものがあります。
犬種や性別などによっても、こういった病気が起こりやすいかどうかに関係することがあります。たとえば、前触れもなく突然発症して、失明を引き起こす SARDS には、特に中~高齢のメス犬がかかりやすい傾向があります。PetMDが報告した研究によると、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、およびミックス犬も、この病気になるリスクが平均よりも高いようです。一方、白内障は、プードル(トイ、ミニチュア)、コッカー・スパニエル、ミニチュア・シュナウザー、ゴールデン・レトリーバー、ボストン・テリア、およびシベリアン・ハスキーなどに比較的多く見られます。
犬の目の病気にはSARDSのように、治療法や予防法が確立していないものもありますが、良質な栄養は犬の健康全体にとってとても重要で、場合によって健康な視覚を維持する助けになることもあります。
ビタミンEやC、ベータカロテンといった抗酸化成分は、犬の目の健康維持に役立つ可能性があります。Pet360によると、ニンジンやカンタロープメロン(ヨーロッパやアメリカ、タイなどで栽培されている赤肉種のメロン)のような人にも犬にも健康によいとされる野菜や果物を摂取することで、白内障の発症確率が下がったという調査報告もあるようです。ですから、成分表にこういったベータカロテンのような抗酸化成分が含まれている、ヒルズ サイエンス・ダイエット のようなドッグフードを探してみてください。
犬の目の病気にはさまざまなものがあり、中にはあまり一般的でなかったり、専門的な治療が必要になる場合もあります。そのような場合にはかかりつけの獣医師から、眼科専門獣医師の診察も勧められるかもしれません。眼科専門獣医師については、 アメリカ獣医眼科学会(ACVO) のような自国の眼科専門獣医師団体のウェブサイトなどで知ることができます。このような専門病院の受診には、かかりつけの獣医師による紹介状が必要になるケースがほとんどですから、目のことについて気になる場合には、まずかかりつけの獣医師に相談しましょう。
子犬は生後1年間、ワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成犬は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢犬や特別なケアが必要な犬は、より頻繁な検診が必要になる場合があります。
では、犬の目が見えにくくなったときに、どのような事に気を付けたらいいのでしょうか。かかりつけの動物病院の先生やスタッフに尋ねてみたり、シニア犬やハンディキャップのある動物たちを専門に保護している保護団体もありますから、そのようなところにアドバイスを求めるのも一案です。以下は、一般的に知っておきたい注意事項です。
確かに、目の不自由な犬との暮らしは、特別な配慮が必要になります。でも、愛情と時間をかけることで、それは飼い主として当然で特別なことではなく、自然な状態と思えるようになります。以前のように物を見ることはできなくなってしまっても、常に変わらぬ愛情と愛着を示し続けていれば、犬の心にはきっとあなたの姿がしっかりと映っていることでしょう。
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