猫の血便の原因はさまざまで、便の状態や血の色、混ざり方によって深刻度も異なります。必ずしも緊急性があるわけではありませんが、注意が必要な場合もあるため、血便の状態から考えられる出血部位や原因、また動物病院を受診すべき猫の状態について解説します。
血便というと真っ赤な色を思い浮かべるかもしれませんが、出血している部位によって、その外観は異なってきます。つまり、便の外観から出血部位をある程度推測することができます。
鮮血が混ざっている場合には大腸から、便の表面だけについている場合には、直腸や肛門からの出血が考えられます。特に大腸の粘膜からの分泌物が混ざることでゼリー状の血便になることが多く、大腸に問題がある可能性があります。
胃や十二指腸などの上部の消化管から出血している場合には、血液が部分的に消化され黒っぽい外観になります。
子猫は生後1年以内にワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成猫は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢猫や特別なケアが必要な猫はより頻繁な検診が必要になる場合があります。
では、そもそも消化管が出血するのは何故なのでしょうか。粘膜を傷つけたり炎症を起こすものであれば、いずれも出血につながる可能性がありますが、猫の血便の原因としては以下のケースが挙げられます。
猫の腸に寄生する寄生虫によって粘膜が傷ついて出血することがあります。治療は駆虫薬の投与ですが、外に出る猫の場合、駆虫しても繰り返し寄生してしまうこともあります。獣医師と駆虫プログラムや飼育環境について相談してください。
猫の下痢は一時的であれば数日で治まることが多いですが、下痢が長引くと粘膜が傷つき、血が混じることがあります。
猫が大腸炎になると、ゼリー状の粘液が混じった下痢や軟便、さらには血便が見られることがあります。
猫の血便は、原因がはっきりしない慢性の腸の病気(慢性腸症)によって起こることがあります。血便や下痢が3週間以上続き、通常の対症療法で改善しない場合は、これらの慢性腸症の可能性があるため、動物病院での詳しい診察が必要です。
食物有害反応は、猫が特定の食べ物に対して起こす有害な反応で、血便の原因となることがあります。これには食物アレルギーや食物不耐症が含まれます。
腸内のがんやポリープは、腸の粘膜を傷つけたり出血させたりすることで、血便の症状を引き起こすことがあります。
猫が有害物質を摂取することで血便の症状が見られることがあります。例えば、殺鼠剤のように腸を含む全身で出血を引き起こす物質など。
猫の血便は、腸内に細菌やウイルスが感染することによって起こる場合があります。代表的なものには サルモネラ菌や大腸菌などの細菌、猫汎白血球減少症ウイルス(FPLV)などのウイルスがあります。
猫は同居猫との相性や環境の変化などで強いストレスを感じると、血便をすることがあります。ただし、猫は体調不良やストレスを隠すのが得意なため、飼い主が血便の原因としてストレスに気づきにくい場合もあります。
猫に血便が見られるときは、排泄の様子だけでなく、猫の元気や食欲、普段の行動にも注意しましょう。外出する猫は確認が難しいこともありますが、外出の頻度やタイミング、様子の変化にも気を配ることが大切です。ただし、次のような症状が見られた場合は、放置せずに必ず動物病院で診てもらいましょう。
明らかに具合が悪そうに見える、食欲の低下あるいはまったく食べない、体重が減った、目に力がなくだるそうに見える、いつもより水をよく飲んでいる、などの状況の時は必ず獣医師の診察を受けてください。何らかの健康問題が生じている可能性が高いと考えられます。
血が混じっているかどうかにかかわらず、重度の水様性の下痢があってさらに嘔吐も見られるときも、すぐに動物病院を受診すべき状態です。嘔吐と下痢による水分喪失によって脱水症状を引き起こし、重要なミネラルも失われるおそれがあるため、できるだけ早く適切な処置をする必要があります。
トイレで何度もいきんでいるとき。これは、便秘や大腸炎、または腸内の異物の際にも見られる徴候ですが、尿道閉塞などでも同じような様子が見られることがあります。尿が出ないのは医学的な緊急事態のため、早急に動物病院に受診し処置をしてもらってください。
血便や消化器症状が続いている場合。食欲があったとしても下痢や嘔吐が48時間以上続くときは、動物病院を受診しましょう。
猫の血便の原因を特定するには、動物病院で糞便検査、血液検査、X線検査、超音波検査などを行います。
受診する場合には、可能であれば糞便検査のための便を採取して持参してください。難しい場合は、血便の状態を写真などで記録し持参するようにしましょう。
また、詳細な問診への準備として、血便が始まった時期や頻度、猫の様子、食事や生活環境などに変化がなかったについても回答を用意しておきましょう。
この記事は私たちのスタッフライターの一人が執筆しました
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