ヘルニアというと、腰の病気のイメージが強いかもしれませんが、そもそも"ヘルニア"とは脱出を意味するラテン語で、体内にある組織や臓器が本来の位置から脱出してしまった状態です。
猫が普通に4本足で立ったとき、お腹の部分の膨らみに気づくことがあるかもしれませんが、それは臍ヘルニアの可能性があります。猫のヘルニアに出会うことはそこまで多くはないかもしれませんが、猫のための知識としてご紹介します。
メルク獣医マニュアル* によると、腹壁(お腹の部分)のヘルニアはあらゆる動物で認められ、猫も例外ではありません。お腹の周囲を覆う筋肉や筋膜が何らかの原因で欠損したり弱くなったりして、腹部の脂肪や臓器が脱出してしまうことで起こります。ヘルニアはその部位によって以下のような種類があります。

VetRecordの記事によると、犬と猫の臍ヘルニアには遺伝的あるいは発生学的な素因があることが多く、比較的若い年齢で見つかることが多いものの、どの年齢でも起こることがあります。外傷性のヘルニアの原因としては交通事故や難産などがあり、外科手術後にヘルニアが起こることもあります。
子猫は生後1年以内にワクチン接種のために複数回の通院が必要になる場合があります。成猫は一般的に年に1回の検診が効果的ですが、高齢猫や特別なケアが必要な猫はより頻繁な検診が必要になる場合があります。
このようにヘルニアにもいろいろありますが、様子をみても大丈夫なものもあれば、すぐに処置が必要なケースもあります。ヘルニアが疑われる場合、獣医師は触診しその内容物の硬さや移動できるかなどを確認します。触診の状況によっては超音波検査やレントゲン(X線)検査が必要になることもあります。尚、横隔膜ヘルニアの確認には画像検査が必ず必要です。
臍ヘルニアや鼠径ヘルニアの場合、ヘルニアが小さければ、これ以上大きくならないか確認しながら経過観察されることも多く、急な変化や日常生活への影響がない限り、急いで何か処置が必要となる病気ではありません。若い年齢で見つかることが多いので、避妊や去勢手術を行う際に、同時に処置するケースが一般的です。横隔膜ヘルニアは基本外科手術の対象ですが、重症度や全身状態によって経過観察がなされることもあります。

臍ヘルニアや鼠径ヘルニアでは、ヘルニアが大きい、あるいは大きくなる、硬くなるなどの変化が見られたときには要注意です。臓器が脱出したままになったりねじれたりすることで、血行障害がおき命にかかわるケースもあるので、早めに手術を行う必要があります。変化に気づいたらすぐに動物病院を受診してください。
頻繁に起こることではありませんが、手術の際に切開した部分の傷が腫れたり膨らんできたりするケースがあります。この場合、次のようなことが考えられます。
今回は、臍ヘルニアや鼠経ヘルニア、横隔膜ヘルニア、術後の腹壁瘢痕ヘルニアについてご紹介しました。あまり遭遇することはないかもしれませんが、何らかの膨らみに気づいたら、早めに動物病院を受診してくださいね。
レイシー・シャイブル博士は、小動物獣医師、獣医ジャーナリスト、そして業界の思想的リーダーです。テキサスA&M大学で獣医学博士号、ウェイクフォレスト大学で法学修士号を取得しています。
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